クリスマスのいつもの

連続クリスマス小説「せいんと☆聖夜」
第1224話: 燃えるモミの木

※編注
 この物語はフィクションであり、実在の人物団体および栗山園の業務とは全く何の関係もありません
 時間を無駄にしてもかまわないという方以外は以下を読んではいけません
 なお、それにともなう如何なる損害に対しても栗山園は補償を致しかねます。予めご了承ください。

 それでも続きを読む! → 「続きを読む」より先に進んでください
 それには同意できないなあ… → 賢明な判断です。またのご来店をお待ちしております

――――――――――――――――――

 …聖なる夜を赤々と炎が照らす。吹き付ける熱風がその身を焦がす。否、熱を帯びるのは熱風のせいではなく、その身を焦がすような情熱か。あるいは赤く燃え上がる炎こそが彼の心そのものかもしれない。
 炎はその勢いをとどめることなく。燃え盛るのはモミの木。華やかに飾り付けられたそれも今はただ燃え尽きるのを待つのみだった。
「さて、これはどういうことか?」
 熱く燃え上がったはずの心を一瞬で凍りつかせるようなその声。…いつの間に…。内心の動揺を悟られまいと落ち着いたそぶりを装いつつ、声の方を振り向く。
「かがり火にしてはいささかくべるものが違うのではないか?」
 その声はただ静かに、穏やかに。しかし、有無をも言わせぬ威圧感を持ってその心をとらえる。ひるんではいけない。頭ではそう思っていても圧倒的な圧力にこうべを垂れてしまいそうになる。
 全身を紅に染めるのは、燃え上がる炎のせいではない。白く輝く髭は長く、年輪の刻まれたその顔は彼の生きてきた長い長い年月そのもののように見える。肩に担ぐのは巨大な袋。
「…サンタクロース…」
 彼はやっとその名を呟く。それでようやく、彼は自分の喉が渇いていることに気が付いた。
「ああ、今日は冷えるからな。暖を取るのも悪くはない。が、少しこれは大げさすぎるのではないか?」
 ゆっくりと脚を進めるサンタ。穏やかな微笑みを浮かべるその表情は聖夜のシンボルにふさわしい。
「のお、トナカイや?」
 名を呼ばれても何も答えられない。サンタとトナカイ、主と従。その関係は盤石で天地がかえろうともその力関係が崩れるはずもない。
 …それでも…
「…もううんざりだ…」
 絞り出すようなかすかな声に、しかしサンタの足が止まる。優しいはずのその眼は、しかしトナカイの真意を探るような深い光をたたえているようにも見える。
「あんたには感謝している…鼻赤奴wwwと嘲笑されていた俺に聖夜の使いという役割を与えてくれたのはあんただ。おかげで負け組だった俺のトナカイ生にも光がさした。その思いは今も変わらない。」
 だが、とトナカイは続ける。
「毎年毎年、この地球をわずか1日で回りきるなんて沙汰は正気のものじゃない。たしかにやりがいはある。子供たちの笑顔を見るのも最高だ。また今年も来てくれた、と、朝満面の笑顔を浮かべる子供たちのおかげでこの仕事もやってこれた…でも、もうたくさんだ!」
 使命感と満足感。それがトナカイの支えだった。そのために12742km、いやその数倍もの距離を一晩でめぐる…それも世界最大の積載量を誇るトラックの最大積載450tをも超えるそりを引いて…この無茶な仕事も黙ってこなしてきた。
「年に一度!それもこんな無謀な内容を!ただそれだけで!…妻と子供たちを食わせて行けるはずがない!」
 そう、この日の為にトナカイはすべてを費やしてきた。スピード、パワー、その二つを兼ね備えなくてはこんな真似ができるはずがない。365日中364日の修業は壮絶を極めた。
「なのにトナカイの日給1日分給料しかあんたはよこさない!子供たちの喝采もすべてあんたが独り占めだ!もうこんな生活はうんざりだ!」
「だから」
 激情をぶつけるトナカイに対してサンタはあくまで穏やかだった。
「だからモミの木に火を放ち、儂に挑戦状をたたきつけた、そう言うのだな?」
 トナカイは何も答えない。しかし、そこにいるのは絶対なる力に脅えるトナカイではない。心に強い炎をともした獣であった。
「そうか…もはや語るべき言葉もないのだな…」
 穏やかに、ただひたすら穏やかにほほ笑むサンタ。しかし、その心情を察するにはトナカイは若すぎた。
 サンタはゆっくりと肩に担いだ袋を下した。ズン、とただそれだけのことに大地が揺れる。無理もない。いったいその袋にどれほどの質量を詰め込んでいるというのか、もはやそれは凡人の想像の余地をはるかに超える。
「ならば…」
 サンタがゆっくりと歩を進める。トナカイもそれに呼応する。聖夜に静かに緊張が高まっていく。
 …お互いに絶好の間合いに歩を進めようとしたその刹那
「やめて!トナカイ!その人は、…サンタは私達の!」
 夜を切り裂く絶叫が響く。その声にトナカイは一瞬気を取られた。……まさか、サンタは、サンタこそが…!
 わずかな隙だった。しかし、その瞬間、トナカイの目に映ったのは…

――――――――――――――――――

トナカイのサンタの関係とは!?声の主はいったい誰なのか!そしてトナカイとサンタの行く末はどうなるのか!?!?!?!?
次号、「もーいーくつねーるとー和尚がmk.Ⅱ!!!」
来年もさーびすさーびす♪♪♪

コメント

  • トナカイさん、ちょっと過労だったんでしょうね。

    心療内科、お勧めしたいです。

    替えはいくらでもいるわけですし、ケモノですもんね。

    それにしても、今年は小説でしたか!!
    栗山園のファンタジークリスマスには毎年目眩、目眩!で油断なりませんですわね

    2015年12月28日6:54 PM | ジブリマニア (主婦)

  • こんな駄文にお付き合いいただき誠にありがとうございます。
    今年はまぢでネタがなにも思いつかず、前日夜にふと思いついた小説ネタを40分くらいで書き上げました(笑)。
    なお最後の龍〇の拳のユ〇・サカ〇キを最初に思いついてあとは勢いだけです(苦笑)。

    2015年12月29日10:49 AM | 若

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

コメントフィード

トラックバック URL : https://www.kuriyamaen.jp/info/wp-trackback.php?p=643